小林製薬の紅麹サプリメントを飲んだ方に腎障害などの有害事象が起き、不幸にも亡くなった方もいるのは非常に残念な事です。
メディアでは発覚から公表が2か月も掛かったと非難していますが、同様の事象が無かったかと問い合わせがあった時に無かったと答えた事は問題ですが、最初に発覚した時は実際に因果関係があるかどうか不明なのは当然で、有害事象の報告が増えてきたため公表に至ったと思いますが、発覚から2か月で公表し、自主回収・販売休止を行った事は速やかな対応だと思います。
一方でSARS-CoV-2ワクチンは多くの健康被害を起こし、500名以上の方に死亡一時金・葬祭料が支払われていますが報道される事なく、自主回収どころか接種が中止されずに継続されている事は大問題だと思います。
しかし反ワクチンを唱える方の中には何でもSARS-CoV-2ワクチンと関連があるかのように誤った考えの人も多く、今回の紅麹サプリメントの件も実際にはSARS-CoV-2ワクチンの副反応の可能性があると小林製薬を擁護する声も聞こえますが、明らかに間違っています。
小林製薬の紅麹サプリメントはロットナンバーも特定されていますし、服用を中止する事で症状が軽減されたという報告があるようですので、明らかに小林製薬の紅麹サプリメントに原因があると言えます。
ロットナンバーが特定されているという事は、そのロットナンバーが製造されている時に何らかの要因で有害物質が混入したというのが論理的な考えと思います。
メディアの報道の仕方が悪いため、紅麹が危険という誤った考えを持つ人が出てきたのも問題です。
2014年に紅麹で発酵させた米に由来するサプリメントの摂取が原因と疑われる健康被害がヨーロッパで報告され、注意勧告されています。
https://www.fsc.go.jp/sonota/kigai_jyoho/benikouji_supplement.html
紅麹菌が生産する有毒物質であるシトリニンが腎障害を起こしますが、小林製薬は2020年に紅麹菌のゲノム解析を行い、使用している紅麹菌はシトリニン生成不能である事を証明しています。
https://www.kobayashi.co.jp/corporate/news/2020/201002_02/
今回は腎障害を認めているのでシトリニンが原因の可能性が考えられますが、小林製薬の紅麹菌はシトリニン生成不能ですので、問題のロットナンバーが製造されている時にシトリニンを生成する他のカビが混入してしまったと考えるのが最も筋が通っていると思います。
紅麹菌が生産するモナコリンKはロバスタチンとも言われ、悪玉コレステロールを下げるスタチン系の薬剤ですので、紅麹サプリメントは悪玉コレステロールを下げる薬と言っても過言ではありません。
ロバスタチンはアメリカでは承認されていますが日本では未承認で、未承認薬剤を機能性表示食品として国が審査せず事業者が食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要な事項を届け出るだけで販売できる事が最大の問題で、こういう制度を作っている国に責任があると思います。
そもそもサプリメントは本来、食事から摂取するべき栄養素を食事だけで摂取するのが困難なため、補充する目的で使用するもので、コレステロールを下げたいから使用するものではなく、薬を偏重する意識が働いている影響です。
何でも薬に頼ろうせず、食事の見直しや運動をするなど生活習慣の改善に取り組み、それでも不十分であればサプリメントで必要最小限を補うようにしてください。
麹菌はカビの一種ですが、麹菌が無ければ日本酒、味噌、醤油などは作る事ができず、一時ブームになった塩麹は米麹と塩で作ります。
今回は不幸にも腎障害を起こす有害物質が混入してしまった事が原因であると思われ、紅麹が危険という誤った考えを持たないようにお願いします。