オミクロン株は感染力が高まっても弱毒化している事は明白ですが、子供の感染者が増えている事と弱毒化した理由としてスパイク蛋白質が30か所以上も変異したため受容体がACE2ではなく、これまでのヒトコロナと同じ受容体に変化したという仮説を立てましたが、非常勤勤務しているICUにオミクロン株での重症患者が人工呼吸器管理され、肥満でCTで肺にすりガラス陰影を認め、これまでと臨床所見としては変化がないため受容体はACE2のままのようです。

新型コロナ騒動が始まってから医療機関で感染する事を恐れて受診者が激減していましたが、最近のオミクロン株に対する煽りと無意味で過度な対策のために受診者が増えていて当然、検査数が増えると感染者が見つかる頻度も増え、子供の受診も増えているので子供での感染者が増えているように見えているかもしれません。

新型コロナは感染する際、ACE2に結合するだけではなくTMPRSS2という酵素が作用して細胞内に侵入するのが主な感染経路ですが、TMPRSS2を介さずエンドサイトーシスという細胞が細胞外の物質を取り込む過程を利用した経路もあり、オミクロン株はTMPRSS2経路ではなくエンドサイトーシス経路で細胞内に侵入して感染するようです。

症状が出て数時間後に抗原定性検査を行っても陽性になる事がありますが、TMPRSS2は上気道に少なく肺に多いのでTMPRSS2経路の場合、肺で感染が成立してから咽頭に抗原が発現するまで少し時間が掛かりますが、オミクロン株はエンドサイトーシス経路になったため上気道で感染が成立し、咽頭での抗原発現も早く、鼻風邪程度の軽症で済んでいると思われます。

ACE2活性は年齢依存性があるため子供は感染しにくいですが、TMPRSS2活性も年齢依存性があるためTMPRSS2経路の場合、子供は二重で感染しにくかったですが、エンドサイトーシス経路になり年齢依存性が無くなったため子供は今までよりは感染しやすくなっていると考えられますが、ACE2活性が低いためこれまでと同様に重症化することはほぼ無いと考えます。

新型コロナは呼吸器症状が分かりやすく目立つ症状ですが実際には呼吸器感染症ではなく血管内皮細胞のACE2機能不全による血管炎・血栓形成が本来の病態と考えられますので、感染した方が普通の風邪と違うと言っているのを耳にしますが、血管炎・血栓形成の影響で普通の風邪とは違うと感じると思われます。

オミクロン株のスパイク蛋白質は30か所以上も変異していますので徐々に変異が進んで結果的に30か所以上も変異したと思っていましたが、実はデルタ株からの変異ではなく武漢株からの変異株のようです。

武漢株は根絶したと思っていましたが今頃、武漢株の変異株でいきなりS蛋白質が30か所以上も変異したオミクロン株が現れた事は不思議ですが、弱毒化している事は明白で収束宣言しても良いぐらいです。

外国では規制を解除する国もあるのに、日本では初めから非常に感染者も死亡者が少ないにも関わらず、既得権益を守る事と保身と責任逃れしか考えていない専門家・医師・政治家などのために人々を苦しめる方策が続けられ、逆に規制を強化しようという動きも出ていて憤慨します。

今回の考察に当たり井上正康・大阪市立大学名誉教授、村上康文・東京理科大学名誉教授から色々と有用な論文や情報などを教えていただきました。   この場を借りて心から感謝の意を表したいと思います。