何度もお知らせしていますが日本では新型コロナに関して自治体で独自の重症基準を設けるなどしているため重症者数を把握するための統計がバラバラで何の参考にもなりません。
その中でも全国のICUの8割が登録するECMOnetで公表されている人工呼吸器装着患者数、ECMO実施患者数が最も重症者数の推移を反映していて日本では宝とも言える資料だと私は思っています。
私は京都府立医科大学で研修医として医師としての基本を学び、術後や患者さんが重症になった際はICUで管理することも多く、ICUで重症管理を学びました。
私が京都府立医科大学に在籍していた時からずっとICUで治療に当たっておられる橋本悟部長がECMOnetを中心に管理しておられ直接、お会いしてお話をお聴きしてきました。
肥満や糖尿病で重症者が多い事は共通認識で、10/30の『オドレら本気か?LIVE』で井上正康大阪市立大学名誉教授も言っておられましたが喫煙者は実は重症化は少ないですが、重症化した場合は肺機能が落ちているため致死率が上がる傾向にあるようです。
似たようなケースとして女性は重症化は少ないですが重症化すると致死率は男性とそれほど差がないようです。
新型コロナの本質は血栓症と血管炎であることは共通認識で、長期化すると肺が線維化してなかなか回復しないケースがありますが、肺組織内の血管内皮細胞が血管炎を起こして線維化が進行するのではないかという私の推論に可能性はあると言っていただきました。
治療薬に関してはどれも効果があったという感触が無くステロイドパルス療法は逆に悪化するためするべきではないと教えていただきました。
イベルメクチンに関しては効果が期待できないと注意を与えたにも関わらず継続した方が重症化してしまったため良いイメージが無いと仰っていました。
治療の基本は抗凝固療法と腹臥位換気で、以前から腹臥位換気が有効であると言われていましたが、人手がかかるなどの理由で今までは行われることはほとんどありませんでしたが今回、腹臥位換気が有効であることが実際に分かったため、今後の治療に生かせると話しておられました。
ICUでは重症化して人工呼吸器が必要な患者さんの管理を行いますが、いかに重症化させないかが重要で、軽症のうちに内服の抗凝固剤を開始することが重症化予防に繋がると考えている事に同意していただきました。
外国ではアスピリンが重症化予防に有効という論文が出たようですが、アスピリン以外にも色々な抗凝固剤があるので、どの抗凝固剤が費用対効果で優れているかを軽症~中等症を診ている呼吸器内科医を中心に多施設で検証する必要があると思います。
今回の騒動も不勉強で保身しか考えていない医師たちが、診療する自信がなく自分たちが感染したくないために診療拒否して混乱が作られました。
誠意ある医師たちが熱心に治療にあたり経験を積み、新しい患者だけではなく今後にも生かされますが、不勉強で保身しか考えない医師たちとの格差がどんどん広がっていきます。
厚労省は医療費削減のために病床数を減らそうとしていましたので、不勉強で保身しか考えない医師たちを淘汰すれば厚労省の目的は達すると思います。