鼻には上鼻道にある嗅細胞で臭い物質を捕らえて脳に伝達して臭いとして感じ、記憶するという機能がありますが、それだけが仕事ではありません。
鼻の空気が通る空間を鼻腔と言いますが、鼻腔内には空気中の大きなゴミを取りのぞくための鼻毛が生えています。
鼻腔内の粘膜は絶えず作られる鼻水によって覆われ、空気中の小さなホコリや細菌などの病原菌はこの鼻水で吸着・除去・殺菌します。
取りのぞかれたゴミは鼻水や鼻くそ、痰として体の外へ排出されます。
鼻腔内部は3つの鼻甲介によって上鼻道、中鼻道、下鼻道という3段の通り道に分けられていて、鼻甲介はヒダによって鼻腔内の表面積を大きくしていますが、ヒダの中にはたくさんの毛細血管が通っており、この毛細血管を流れる血液によって空気が温められ、適度な湿り気が与えられ、鼻を通ってきた空気は清浄で体に刺激を与えないものとなります。
鼻はいわば高性能エアーコンディショナーと言っても過言がありません。
マスクをすると口呼吸になり、それだけでも口腔内が乾燥して粘膜が損傷し細菌やウイルスが付着しやすい状態になりますが、鼻という高性能エアコンディショナーを通らずに空気が入ってくるので細菌やウイルスも直接、咽頭や気道に入りやすくなりますので、マスクをした方が感染しやすくなると考えられます。
マスクをして口呼吸になれば開口部分が大きいため、浅い呼吸でも鼻で吸う時と同じ量の空気を取り入れられますが、呼吸が浅いため酸素と二酸化炭素の交換を行っている肺胞が十分に拡がらずに低酸素、二酸化炭素貯留にも繋がると考えられます。